03.指を絡ませる(快斗×青子)
「快斗〜、入るよ?」
形式だけのノックをして快斗の部屋のドアを開けた青子は、慌てて声のボリュームを落とした。
部屋の主はのん気にお昼寝の真っ最中だった。
いつもだったら起こして一緒に出掛けようと誘うところだけど、今日は昨晩ようやく怪盗の仕事が
終わったと分かっているから我慢する。
実はちょっと予想していた通りの展開にくすりと笑みを零して、青子は足音を立てないように
ベッドに近づいていった。
ベッドの脇にぺたりと座り込んでそぉっと快斗の寝顔を覗きこむ。
穏やかな寝息をたてている彼はとても気持ち良さそうで、ゆっくりと休息をとっている様子に
青子は胸を撫で下ろした。
それから、廻らせた視線の先に布団からはみ出ている腕を見つけて、
布団の中に入れてあげようと触れたトコロで・・・ふと気が変わった。
快斗が目を覚ます様子がない事を横目で確認してから、青子はそっと快斗の長い指先に
自分の一回り小さい指を絡ませた。
繋いだ手から仄かに温もりが伝わって、何故かホッと吐息が零れ落ちる。
青子は自分の腕を枕にベッドへとぽすんと顔を伏せた。
90度回転した視界の中に繋がれた手が見える。
指を閉じたり開いたりして、快斗の手の感触を確かめてみる。
いつの間にか青子の手をすっぽり覆えるほど大きな快斗の手を改めて実感してしまった。
何となく青子が置いてけぼりにされたような気持ちになった時、されるがままだった快斗の指に
力が篭って握り返された。
「オレの手って見ていてそんなにおもしれーか?」
「か、快斗!?」
青子が慌てて身体を起こして快斗を振り返ると、おかしそうな顔をした快斗が青子を
見つめていた。
驚きから我に返って、青子は繋いだままだった手を急いで放した。
「べっ別にこれは何でもないからね!」
「何でもねーんだったら、なんでそんなに慌ててんだよ?」
「慌ててないもんっ!」
「ふ〜ん?」
イタズラっぽい光を瞳に映す快斗に、青子がからかわれないようにしようと気合いを
込めていたら、いきなり腕を掴まれて布団の中に引っ張り込まれた。
気がつくと快斗の腕の中にいて、青子の頬にかぁっと血が上る。
「バ快斗!えっち!放してっ!!」
「何もしねーから大人しくしろって。」
我に返ってジタバタと暴れだした青子の身体を引き寄せて、快斗は懐深く抱き込む。
「一緒に昼寝しよーぜ?」
「え?」
「だから、昼寝だって。オレ、まだねみーんだよ。」
落ち着かせるように背中をぽんぽんとされると、青子の中で抵抗しようとする気持ちが
急速に萎えた。
躊躇いがちに手を伸ばして快斗の服の胸元をぎゅっと掴むと、青子の身体に回された腕に
力が篭った。
先程とは違う安心感からくる吐息を吐き出して、青子は力を抜いてそっと目を瞑った。
包み込むような温もりが何よりも近くに快斗がいると感じさせてくれる。
たぶん、青子も寂しかったのだ。
快斗が仕事をしていたという事は、忙しくて青子と一緒にいる時間もなかったのだから。
こうして快斗の温もりに包まれて、気づかない振りをしていた気持ちも素直に認められた。
もちろん調子に乗ってからかわれるだけだから、快斗には絶対言わないけれど。
温もりに解かされた心が眠気を運んでくる。
昨夜は快斗の事が心配で、青子もあまり眠っていなかった。
うとうとと微睡み始めた青子の額に優しい感触が落とされる。
それに薄っすらと微笑みを浮かべて、青子の意識はゆっくりと眠りの中に滑り落ちていった。


ホント、何にも意味のない話(笑)でも、こういう何気ない話も好きだったりしますv
快青の2人って一緒に寝てる図が凄く似合っている気がします。
ほのぼのとしているというか。
・・・快斗の心の中はほのぼのどころじゃないかもしれませんが(笑)


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