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世界中の女の子達に聞きたい。 貴方は待ってる? いつか、自分を助けに来てくれる王子様。 女の子なら誰もが憧れるであろう、御伽噺を。 自分を守ってくれる人。 助けてくれる人。 幸せにしてくれる人。 ボクは、待ってなかった。 助けられたくなんか、なかった。 昔。 遠い昔に「女の子」は捨てたつもりだった。 どうしても、対等になりたかったから。 役に立ちたかったから。 でも、思い知る。 自分の無力さ。弱さ。 自分独りじゃ、何もできないんだ、って。 「は〜・・・」 マルーは今日何度目かのため息を吐いた。 彼女がいるのは、ユグドラシルの私室。 パシュッという機械音が部屋に響いて、扉が開く。入ってきたのはエリィだった。 「エリィさん?」 「こんにちは」 「どうしたの?」 「メイソンさんにお茶いれてもらったから、マルーと飲もうかな、って思って。」 そう言って微笑んだエリィの手には紅茶のポットが乗ったトレイがある。 「わぁ、ボク爺のいれたお茶、好きなんだ!」 マルーは嬉しそうに言うと、今まで座っていた寝台から立ち上がった。 そしてエリィがトレイを置いたテーブルの席に座る。 「ん〜、いい香り」 「スコーンとビスケットもつけてくれたのよ」 「ほんとだ」 「「いただきま〜す」」 しばらく紅茶を飲んで。唐突にエリィが口を開いた。 「さっき、どうしてため息吐いてたの?」 「・・・え?」 「ほら、わたしが入った時、なんだか考え事してたみたいだったし。」 エリィの言葉に、マルーはきょとん、という表情をした。 「・・・あ・・・あぁ、あれ・・・」 そして思い出して、俯いた。 「どうしたの?私で良ければ相談に乗るけど・・・」 「・・・・・・」 「言いたくないならいいのよ、無理しないで」 マルーの表情に聞いてはいけない事だったか、と慌てて言うエリィ。 マルーはしばらく考え込んでいた。 少しの間を置いて、思い切ったように聞いた。 「エリィさんって、フェイさんに助けてもらった事、あるんだよね?」 「え?えぇ、あるわ」 質問の内容にやや面食らいながらも答える。 彼女は黒月の森での事を思い出していた。 「・・・その時、嬉しいって思った?」 俯いているので、マルーの表情は見えない。しかし、エリィは正直に言った。 「そうね。嬉しかったわ。ただ・・・私は混乱していたから、ずいぶん酷い態度を取っちゃったけど」 そう言って苦笑するエリィ。 「・・・そうなんだ」 マルーの声は暗い。 「・・・何かあったの?」 「・・・ボクは、助けられたくなんかなかったんだ・・・」 「マルー・・・」 エリィはマルーが助け出されたいきさつを知っている。後でフェイに詳しく聞いたからだ。 そして、彼女がどう思っているかも。 「対等になりたかったのにね・・・。いつも、助けられてばっかりなんだ。」 マルーはぎゅっと手を握り締めた。 悔しさで胸が張り裂けそうだった。 「いつも、なんでボク、女に産まれてきちゃったんだろうって思う。もし・・・もし男だったら・・・ 若を助けられたかもしれないのに。こんなに・・・弱くなかったのに。」 「マルー・・・。あのね、女にしか出来ない事だってあるのよ?」 優しくエリィが話し掛ける。 どんな人をも穏かにしてしまうような声。 「私だって弱いけど、精一杯好きな人の力になりたいって思うわ。私にしか出来ない事もあるから」 「・・・・・・」 「そのうち、絶対女で良かったって思うわよ」 「・・・そうかな・・・」 「絶対よ」 そう言うと、自身たっぷりにエリィは微笑んだ。 つられてマルーも笑う。 「僕でも、若の役に立てるのかな」 「あなたがいないと、バルトはだめになっちゃうわよ」 「ふふ、そうだといいんだけどね。」 「あら、絶対そうよ!だってこの間・・・」 御伽噺に憧れますか? 好きな人には、守ってもらいたいですか? それとも。 好きな人に、何かしてあげたいですか? いつも、守られてるだけじゃなくて。 助ける事出来たら、と思いますか? 好きだから、迷惑かけたくなくて。足手まといになりたくなくて。 ボクは、そう。 弱い自分が大嫌いだった。 何も出来ない、無力な自分が。 女の子に生まれてきた事を後悔するほど。 でも、エリィさんは言ってくれた。 「女にしか出来ない事」 まだ、それが何かは分からないけど。 これから見つけられるといいな、って思う。 大好きな、あの人の為に。 <了> |
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りとさんのHPの会員ページで100HitsをGetして頂きました。 すごくかわいらしいお話ですよね(^^) マルーって女としての自分を否定してしまっているところがあるけど、この話の最後で言ってるように 「女にしか出来ない事」を見つけて、自分に自信を持って欲しいなぁと思います。 そして、いつの日か若とラブラブに(笑) らいあさん、りとさん、素敵なお話をありがとうございました! |
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